小児血液・腫瘍内科このページを印刷する - 小児血液・腫瘍内科

診療紹介

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小児血液・腫瘍内科では急性白血病、悪性リンパ腫、神経芽腫を中心とした小児悪性腫瘍の患者さんを治療しています。年間数名から十数名の新患患者さんが入院され、各診療科と協力して化学療法を主体とする治療を行っています。 

制吐剤やG-CSF(白血球増加因子)の開発は治療の副作用の軽減に非常に有用であり、患者さんにも朗報でした。しかしながら、感染症がまったく予防できるわけでなく、感染症との戦いは続いています。

化学療法や治療を行う環境も進歩し、小児がんはおよそ80%の患者さんが治癒する時代となりました。治療が終わって、元気に保育園や学校に通っている子どもたちもたくさんいます。成人になって結婚、出産されている方もいます。また、小児がんの治癒率が向上するとともに、治療による合併症の可能性があること、それを長期にフォローアップする必要性があることも分かってきました。治療を受けた患者さんの中には、治療後数十年を経て社会に出られたときに、内分泌障害、心機能障害などの合併症(いわゆる晩期合併症)を認めることがあります。したがって、治療が終わっても定期検診を受け、晩期合併症のフォローアップが必要とされています。

現在の治療の目指すところは、治療成績を向上させるとともに、できるだけ晩期合併症を少なくして、患者さんのQOL(生活の質)の向上をはかることです。そのため、それぞれの患者さんに合わせたより適切な治療を受けられるように、治療の層別化が行われています。それぞれの患者さんで、いくつかの検査を組み合わせて、疾患のリスクを判断し、リスクに基づいた治療を行います。小児では化学療法が主体の患者さんが多いですが、難治性で再発のリスクの高い患者さんでは、造血幹細胞移植を行うことがあります。同種造血幹細胞移植が必要な場合には移植協力病院と連携して治療することになります。

外来では主に維持療法や治療を終えられた患者さんの診療を行っています。治療を終えた患者さんでは定期検査とともに、晩期合併症の検査も行います。患者さんの社会での活躍を楽しく喜ばしく伺いながら、悩みの相談なども聞き、患者さんやご家族とのコミュニケーションを大切にして診療しています。

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主要な疾患について

1.急性白血病
…小児では急性白血病の75%が急性リンパ性白血病で、25%が急性骨髄性白血病です。日本小児がん学会(JCCG)多施設共同研究に参加し、全国で統一されたプロトコールで治療を行っています。その成績では急性リンパ性白血病はおよそ80%の患者さんが治癒するようになりました。急性骨髄性白血病では、その治療成績は約60%です。近年、骨髄移植、臍帯血移植等の造血幹細胞移植が進歩し、難治性白血病の治療成績がさらに向上しています。

2.神経芽腫、横紋筋肉腫等の固形腫瘍
…固形がんには胎児期から残った組織から由来する小児特有の腫瘍が存在します。神経芽腫は日本神経芽腫研究グループ(JNBSG)の多施設共同研究に参加し治療しています。その他の腫瘍も各研究グループで他施設共同研究が行われているものは参加しています。再発や難治性の腫瘍では自家末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法を行っています。

3.脳腫瘍
…脳腫瘍は小児腫瘍の中で白血病に次いで2番目に多い腫瘍です。当院では小児脳神経外科と放射線科があり、連携して治療を行っています。脳腫瘍には良性のものから悪性のものまで多くの種類があります。それぞれの患者さんの病状に合わせた化学療法・放射線治療を行います。難治性の場合は自家末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法を行っています。

4.血液疾患
…再生不良性貧血に対しては免疫抑制療法を行い、重症の場合には移植協力病院と連携して骨髄移植を行っています。特発性血小板減少症に対してはガンマグロブリン療法、ステロイド療法、トロンボポイエチン受容体刺激薬による治療を行っています。血友病は凝固因子製剤の定期補充療法を行っています。最近では長時間作用する凝固因子製剤が開発され、補充する頻度が減り、患者さんやご家族の負担は一層軽減されています。整形外科とも協力して、関節障害の予防に努めています。   

診療体制について

小児の血液腫瘍性疾患の患者さんの治療はあおいろの丘病棟で行っています。週に1回カンファレンスを行います。カンファレンスには看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、臨床心理士、医師が集まって情報共有し、それぞれの立場から患者さんへの支援を行い、包括的な診療を目指しています。小児がんは、医学の進歩により治癒率が向上してきました。しかし、子供たちの生命を脅かす病気であることに変わりはありません。家族にとって、小児がんの診断は、まさに晴天の霹靂です。同時に、病気は治るのだろうか、治療したらどんな副作用があるのだろう、これからの家族のことなどいろいろな問題に向き合わなくてはなりません。

当科では小児がんの患者さんとその家族が直面する様々な問題や悩みを軽減するために、種々の職種が患者さんおよびご家族に関わり、それぞれの立場で支援します。その情報をスタッフで共有し、できるだけなんでも相談しやすい雰囲気を作っていくよう心がけています。なお、当院に入院した患者さんたちの患者会もありますので、希望される方には紹介しています。

患者さんは治療のために、ときに一次的な外出・外泊を許可されますが、半年から1年間の殆どは病院での生活を余儀なくされます。その中で、学習スペースや遊びのスペースでいろいろな遊びや作品つくりを通して、同じ年、あるいは年齢が離れていても患者さんたちやご家族が交流しています。また、楽しみや季節の変化を感じてもらえるように、病棟保育士を中心に節分、こどもの日、七夕、ハロウィン、クリスマスなどに工作やイベントを企画しています。小学生、中学生は養護学校から先生がベッドサイドに教えに来てくれますので勉強もします。治療中にはしんどい時もありますが、元気な時はみんなでイベントを楽しんでいます。入院生活の中でも子どもたちの素晴らしい笑顔や成長をみることができ、日々その笑顔に励まされています。

カンファレンス

スタッフ紹介

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永井功造  ながい こうぞう

成育内科系診療副部長、小児血液・腫瘍内科医長
 

●小児科、小児血液腫瘍

 

小児科学会専門医・指導医/小児血液・がん学会専門医/小児血液・がん みなし指導医/日本血液学会専門医・指導医/日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医/日本がん治療認定医機構認定医

 

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岩井艶子  いわい つやこ

小児血液・腫瘍内科(非常勤)

 

● 小児血液、腫瘍、臨床遺伝、遺伝カウンセリング

 

小児科学会専門医/臨床遺伝学会専門医/がん治療暫定教育医

 

子どもたちが一日でも早く退院できるように治療し、退院後はその成長を見守り、時々の悩みに寄り添っていきたい。