小児血液・腫瘍内科このページを印刷する - 小児血液・腫瘍内科

診療紹介

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 当院には小児血液・がん学会指導医と小児がん認定外科医が常勤し、2022年4月より小児血液・がん専門医研修認定施設(全国44施設)として、小児外科、小児脳神経外科、小児整形外科、新生児科、放射線科、病理診断科など小児がんにかかわる専門家の力を結集して、質の高い集学的治療に取り組んでいます。小児がん(白血病、悪性リンパ腫、脳腫瘍、神経芽腫、腎腫瘍、肝腫瘍、網膜芽細胞腫、骨軟部腫瘍)だけでなく、骨髄不全症、先天性貧血、血小板減少症、凝固異常症、そして免疫不全症まで幅広く早期診断・治療を行っています。 

 小児がんの子どもたちの入院は半年以上におよび、両親、きょうだいにとっても家族力動が崩されるすさまじい体験の期間となります。私たちは、子どもたちの闘病期間が「停滞」ではなく「勝利の時」となることを目指し、理学・作業療法士、心理師、薬剤師、栄養士、医療ソーシャルワーカー、院内学校教諭、保育士と連携して、多職種で支える医療を展開しています。

 日本小児がん研究グループ(JCCG)、血液腫瘍分科会(JPLSG)、および日本小児白血病研究会(JACLS)の参加施設として、愛媛大学、香川大学、兵庫県立こども病院、大阪市立総合医療センターとも連携して診療を行っています。

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主要な疾患について

○2022年度に診断・治療した疾患と患者数

合計症例数
急性白血病   10
悪性リンパ腫   2
ランゲルハンス細胞組織球症     1
遺伝性骨髄不全症候群 1
血友病 2
フォン・ヴィレブランド病 2
免疫性血小板減少性紫斑病 4
LAHPS 4
遺伝性球状赤血球症 1
固形腫瘍
脳腫瘍     3
胚細胞腫瘍     4
神経芽腫     1
副腎腫瘍     1
その他
原発性免疫不全症候群 3

診療体制について

小児の血液腫瘍性疾患の患者さんの治療はあおいろの丘病棟で行っています。週に1回カンファレンスを行います。カンファレンスには看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、臨床心理士、医師が集まって情報共有し、それぞれの立場から患者さんへの支援を行い、包括的な診療を目指しています。小児がんは、医学の進歩により治癒率が向上してきました。しかし、子供たちの生命を脅かす病気であることに変わりはありません。家族にとって、小児がんの診断は、まさに晴天の霹靂です。同時に、病気は治るのだろうか、治療したらどんな副作用があるのだろう、これからの家族のことなどいろいろな問題に向き合わなくてはなりません。

当科では小児がんの患者さんとその家族が直面する様々な問題や悩みを軽減するために、種々の職種が患者さんおよびご家族に関わり、それぞれの立場で支援します。その情報をスタッフで共有し、できるだけなんでも相談しやすい雰囲気を作っていくよう心がけています。なお、当院に入院した患者さんたちの患者会もありますので、希望される方には紹介しています。

患者さんは治療のために、ときに一次的な外出・外泊を許可されますが、半年から1年間の殆どは病院での生活を余儀なくされます。その中で、学習スペースや遊びのスペースでいろいろな遊びや作品つくりを通して、同じ年、あるいは年齢が離れていても患者さんたちやご家族が交流しています。また、楽しみや季節の変化を感じてもらえるように、病棟保育士を中心に節分、こどもの日、七夕、ハロウィン、クリスマスなどに工作やイベントを企画しています。小学生、中学生は養護学校から先生がベッドサイドに教えに来てくれますので勉強もします。治療中にはしんどい時もありますが、元気な時はみんなでイベントを楽しんでいます。入院生活の中でも子どもたちの素晴らしい笑顔や成長をみることができ、日々その笑顔に励まされています。

カンファレンス

スタッフ紹介

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今井剛  いまい  つよし

成育内科系診療副部長、小児血液・腫瘍内科医長

●小児血液・腫瘍、小児一般・保健

日本小児血液・がん学会専門医・指導医/日本血液学会認定血液専門医・指導医/日本臨床腫瘍学会暫定指導医/日本がん治療認定医機構がん治療認定医/出生前コンサルト小児科医認定/日本小児白血病研究会(JACLS)支持療法委員会委員/日本小児血液・がん学会評議員/日本小児科学会認定小児科専門医・指導医/卒後臨床研修指導医

 

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岩井艶子  いわい つやこ

小児血液・腫瘍内科医師(非常勤)

● 小児血液、腫瘍、臨床遺伝、遺伝カウンセリング

日本小児科学会認定小児科専門医/臨床遺伝学会専門医/がん治療暫定教育医/出生前コンサルト小児科医認定

子どもたちが一日でも早く退院できるように治療し、退院後はその成長を見守り、時々の悩みに寄り添っていきたい。