小児循環器内科
診療紹介
心雑音などで紹介される場合は超音波診断、心臓カテーテル検査による手術適応診断を実施しています。加えて、重症不整脈の診断治療、重症川崎病の血漿交換療法、急性心筋炎や心筋症に対する人工心肺管理を含めた集中治療、成人期先天性心疾患患者さんの遠隔期心不全治療や不整脈管理も担当しております。
対象疾患は多岐にわたり、対象年齢も新生児から成人までと幅広く、香川県全域、高知県のほぼ全域、愛媛県東部、徳島県西部から受け入れております。
そのため当科では緊急の心疾患患者さんも受け入れられるよう、24時間365日で小児循環器医師の時間外・緊急時対応が可能な体制を整えています。
診療科の特徴
経胸壁心エコー検査は通常外来でおこなえる検査で、比較的患者さんにストレスを与えず繰り返し心臓の構造や機能を調べることが可能です。年間の経胸壁心臓超音波検査件数は3000件を超えています。
一方、経食道心エコー検査も、診断目的および開胸術中の心血管評価目的におこなっており、件数は年間60件程度実施しております。
経食道心エコー検査は、微な鎮静は必要とするものの心内をより詳細に観察できるため、心房中隔欠損症や心臓弁膜症の形態診断をはじめ経カテーテル的心房中隔欠損症閉鎖術などへも応用されており、実臨床において極めて有用な検査です。
若手医師に対しても小児循環器内科医が指導のもと各種心エコー検査の指導をおこなっております。
・心臓カテーテル検査/心臓カテーテルインターベンション(治療)
高度な知識と経験が要求される侵襲的検査です。従来は診断目的で施行されることが多かったのですが、近年のカテーテル技術および素材の進歩に伴い、心臓カテーテル治療も進歩しております。
患者さんの生活の質向上に寄与できるよう、カテーテル治療のリスクベネフィットを鑑みながら、積極的なカテーテル治療を導入することで年間治療件数は増加し手技内容も高度化してきております。
2013年度よりASD(心房中隔欠損症)、PDA(動脈管開存症)に対する経カテーテル閉鎖術の施設認定を受けており、施設認定と術者認定を継続維持できる治療実績を収めています。
また、2024年度からは小児不整脈に対するカテーテルアブレーション治療を導入しました。
このようにカテーテル治療の幅を広げ、地域の皆様により良いカテーテル治療を実施できるよう、科全体で取り組んでいます。
・小児不整脈疾患(ホルター心電図、トレッドミル負荷心電図)
不整脈には脈の乱れや、速い脈(頻脈)および極端に遅い脈(徐脈)があります。
小児期の不整脈の多くは小中高校1年生の学校心臓検診で発見され、その多くは軽症で治療を必要としませんが、時に治療が必要な不整脈もあります。
また、運動時に失神などを起こす場合は危険な不整脈が発生している可能性があるため、当科ではより細かな精査を必要とする患者さんに運動負荷心電図や24時間心電図をおこない、不整脈の診断をより確実なものにできるよう心がけています。診断に際してこれらの心電図検査で判別が難しい場合には、7日間ホルター心電図(イベントレコーダー)や植込み型心電図(ループレコーダー)を用いて診断しえた方も多数おられます。
不整脈の治療では、薬で治療する薬物療法と、カテーテル心筋焼灼術(アブレーション治療)・ペースメーカー治療・植込み型除細動器治療などの非薬物療法があります。
薬物治療については頻繁におこなっておりますが、これは根治的な治療ではありません。
そのため、2024年度から小児不整脈に対するアブレーション治療を開始しております。
・周産期/新生児心疾患
2003年に総合周産期母子医療センターの開設と同時に、胎児心臓病に対して産科と協力して診断・管理をおこなっています。
小児循環器内科は当院新生児内科からの診療依頼にも迅速に対応するとともに、心疾患新生児についてはできる限り当科での主導管理を実施し、術前心不全管理や不整脈治療を新生児内科から引き継いで対応しています。
また出生前の胎児心臓超音波検査については、2010年4月から胎児心臓超音波検査が正式な専門医療行為として厚生労働省に認定され、認定初期から認可施設として従事しております。
現状では当院産婦人科および近隣の産科開業医の先生方と連携し、完全予約制の専門外来を設けることで出生前診断し、出生後の早期治療を計画実践できております。
胎児心臓超音波外来は胎児心臓超音波認定医が担当しております。
・成人先天性心疾患診療
成人先天性心疾患とは、小児期に中等症以上の先天性心疾患治療で治療された患者さんが、成人期になってその心機能に問題が出てしまうことを意味しています。
このような方は「成人」に到達しているため、別の成人疾患を併発した場合には「小児」循環器内科で対応が困難なこともしばしばあり他の成人科と協力して診させていただいてはいますが、成人性心疾患への対応については「移行期医療のありかた」という観点で全国的に問題となっています。
実情としては、様々な施設で成人先天性心疾患に対する専門のフォローアップ体制が構築されつつあり、当科でも2021年から成人先天性心疾患外来を開設し、先天性心疾患患者さんを重点的にフォローできるよう体制を敷いております。
・川崎病
川崎病は小児では比較的メジャーな疾患です。しかしながらその後遺症は極めて重篤であるため親御さんは本疾患について十分に認知しておく必要があります。
(参照URL:https://shikoku-mc.hosp.go.jp/news/ohisama_basics_c_vol11.html)
当院でも毎年40~60例の入院があり、急性期の治療は川崎病急性期治療のガイドラインに従って一般小児科入院にて実施されていますが、やはり後遺症を免れない患者さんがおられます。
そして後遺症を患った場合には、長期間にわたって内服加療や精密検査入院を含めた経過観察が必要なため、生活の質を大きく下げてしまいます。従って本症では後遺症を残さないことが大切なのですが、難治性川崎病の場合には後遺症が発生する頻度が高くなります。
当科では難治性川崎病に対して高度集中治療である血漿交換療法をおこなっており、冠動脈に異常が出始めていた患者さんも含め、本治療法を導入することで冠動脈病変の進行を食い止めることができています(ただし本治療の実施が必ず後遺症を残さない、というわけではありません)。
繰り返しますが、十分に気を付けなければならない小児特有の疾患です。
診療実績
スタッフ紹介
寺田一也 てらだ かずや
成育内科系診療部長、感染制御対策部長
●小児循環器、胎児心臓学
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医/日本小児循環器学会認定小児循環器専門医・評議員/胎児心エコー認証医/ICD協議会認定ICD/身体障害者福祉法指定医/出生前コンサルト小児科医認定/卒後臨床研修指導医
地域に根ざした患者さん主体の小児循環器医療をがんばっていきます。よろしくおねがいします。
大西達也 おおにし たつや
成育循環器診療部長、小児循環器内科医長
●小児循環器病学、小児カテーテル治療、超音波診断学、小児集中治療
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医/日本小児循環器学会認定小児循環器専門医・群内修練施設指導責任者/日本超音波医学会認定超音波専門医/日本心エコー図学会認定心エコー図専門医・Structural Heart Disease(構造的心疾患)心エコー図認証医/日本先天性心疾患インターベンション学会幹事・経皮的心房中隔欠損症閉鎖術認定医・経皮的動脈管開存症閉鎖術認定医/日本成人先天性心疾患学会連携修練施設指導責任者/身体障害者福祉法指定医/災害派遣医療チーム(DMAT)隊員/出生前コンサルト小児科医認定/卒後臨床研修指導医
地元香川の小児医療に貢献できるよう努めます。
宮城雄一 みやぎ ゆういち
小児循環器内科医師、災害対策室長
●小児循環器、小児集中治療、カテーテル治療
日本小児科学会認定小児科専門医/災害派遣医療チーム(DMAT)隊員/卒後臨床研修指導医
子どもにより良い医療が提供できるように頑張りたいと思います。
福留啓祐 ふくどめ けいすけ
小児循環器内科医師
● 小児科、小児循環器
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医/日本小児循環器学会認定小児循環器専門医/心臓ペースメーカー・植込み型除細動器等の医療機器情報担当者(CDR)認定/卒後臨床研修指導医
奥 貴幸 おく たかゆき
小児循環器内科医師
● 小児科、小児循環器
日本小児科学会認定小児科専門医/卒後臨床研修指導医