病理診断科このページを印刷する - 病理診断科

診療科の紹介・特長

【病理診断とは】

病理学は、病(やまい)の理(ことわり)を考える学問であり、医学の基盤となるものです。
病理診断とは、患者様から採取された組織や細胞を、顕微鏡を用いて診断することです。

病理診断について、日本病理学会が分かりやすい市民向け動画を作成していますので、興味のある方は、 こちら をご参照ください。
※2分25秒からが、具体的な説明になります。日本病理学会 社会への情報発信委員会作成。学会の許可を得て掲載しています。

病理診断科では、病理診断を行う病理医や、細胞をスクリーニング・同定・判定する細胞検査士、標本を作製する臨床検査技師が業務を担っています。 患者様と接する機会は乏しいですが、診断の確定や治療方針の決定に関わっています。

現在行っている病理診断は、主に以下の4つです。

①組織診断

組織診断
提出された病変(検体)を切り出し、10%中性緩衝ホルマリンに固定後、包埋、薄切、染色、封入という過程を経てプレパラートを作製します。プレパラートを顕微鏡で鏡見し、診断を行います。必要に応じて、特殊染色や免疫染色等を追加し、診断精度を高めます。
提出された検体は、コンパニオン診断(治療薬が患者様に効果があるかどうか確認するための、コンパニオン診断薬を用いた分子病理診断)や遺伝子検査等にも役立っています。
 
診断に関しては、徳島大学の診療支援を受けており、精度管理を行っています。希少疾患や特殊な症例は、国内の専門家にコンサルテーションを依頼したり、日本病理学会のコンサルテーションシステムや小児がん中央病理診断制度を利用して、患者様が最善の治療が受けられるよう努めています。
また、若手の臨床検査技師は、積極的に他施設へ研修に行くとともに、他施設のエキスパートに、当院での技術指導やオンライン勉強会を依頼して、検体処理の見直しや業務の効率化、技術の向上に努めています。
ほか、有害な有機溶剤等を用いない安全・安心な職場環境の整備にも努めています。
病理診断業務について、より詳しく知りたい方は病理診断教育支援のホームページ こちら をご参照ください。
※PaLaNaの許可を得て掲載しています。

②細胞診

細胞診
尿や喀痰、体腔液(腹水・胸水)、子宮頸部、子宮体部、甲状腺、乳腺などから採取された細胞の良悪を判断します。尿や喀痰は、体に大きな負担をかけることなく、繰り返し検体を採取することができます。


細胞検査士(Cytotechnologist)および臨床検査技師(病理)紹介
福田  智 臨床検査技師長(併任) 細胞検査士/有機溶剤作業主任者/特定化学物質作業主任者
横下 佐矢加 臨床検査技師(併任) 細胞検査士/国際細胞検査士/二級臨床検査士(病理)/
超音波検査士(体表)/特定化学物質作業主任者
山下  智浩 臨床検査技師 細胞検査士/二級臨床検査士(微生物)/緊急臨床検査士/
特定化学物質作業主任者/有機溶剤作業主任者/心電図検定2級
毒物劇物取扱者
松本  卓之 臨床検査技師  
松谷  優汰 臨床検査技師  

③術中迅速診断

手術中に採取された病変を急速に凍結後、薄切、染色、封入という過程を経て速やかにプレパラートを作製します。病変が、腫瘍性か非腫瘍性か、また悪性腫瘍の場合、切除断端の評価等を行います。病変が提出されてから、数十分後に手術室の執刀医に診断結果を報告します。結果次第では、術式が変更されることもあります。
 
ほか、脳死下臓器提供時において、術中迅速診断が移植可否の判断材料の1つとなっています(肝臓の場合)。

④病理解剖

病理3
病院で患者様が亡くなられた場合、御遺族様の同意を得た上で行う解剖を病理解剖といいます。医学の進歩に伴い、我が国の病理解剖数は減少傾向にあります。しかし、今日でも病理解剖を行う意義は十分にあり、肉眼的および組織学的所見から、診断の妥当性、死因を含めた病態、治療効果などを把握し、最終的な評価を行う貴重な機会となります。
当院では、病理解剖の前にautopsy imaging(死亡時画像診断; CT、時にMRIやX線写真)を行い、放射線科とも密に連携して診断精度を高めています。
日本病理学会の試算によると、病理解剖1体あたりに必要な経費は25万円相当とされていますが、全額病院負担となっておりますので、御遺族様の負担はありません。(遺伝子検査、染色体検査等の外注検査を御希望の場合、外注検査料金は御遺族様の負担となりますので御了承下さい)。
御遺族様の希望があれば、後日、担当医から改めて病理解剖結果を御報告させて頂きます。遺伝カウンセリングが行われることもあります。
 
病理解剖を行った全ての症例は、病院CPC(Clinico-Pathological Conference:臨床-病理検討会)を行い、病態の理解や診断・治療方針決定の向上に努めています。CPCは医師臨床研修制度においても必須とされており、重要な役割を担っています。
 

診療実績

   2021年  2022年  2023年
組織診断 2132 1946 1757
細胞診 2847 2742 2391
術中迅速 (組織診断における) 46 70 43
病理解剖 13 10 7
 
  2021年度 2022年度 2023年度
病院CPC 2 12 11
院内カンファレンス
胎盤カンファレンス

施設認定
日本病理学会研修認定施設
日本臨床細胞学会認定施設

外部精度管理
日本病理精度保証機構外部精度評価
日本臨床衛生検査技師会精度管理
香川県臨床検査精度管理
日本臨床細胞学会コントロ―ルサーベイ

教育関連施設ほか
<病理専攻医>
徳島大学病理専門研修プログラム連携施設
香川大学病理専門研修プログラム連携施設

<学生病院実習>(2021年以降の受け入れ実績; 臨床検査科の一部門として)
香川県立保健医療大学 保健医療学部 臨床検査学科
倉敷芸術科学大学 生命科学部 生命医科学科

<初期臨床研修>
当院の初期臨床研修では、小児・周産期医療を重点的に研鑽できる「こどもプログラム」が選択できることから、全国から小児・周産期医療を志す初期研修医が集まっています。
病理診断科では、徳島大学の協力のもと、小児・周産期病理のwhole slide imaging (WSI)ライブラリーを構築しています。短期間でも様々な疾患を経験し、診療現場につながる実践的な研修ができるよう努めています。

主な設備と機器
 
  1.  自動固定包埋装置+パラフィン包埋ブロック作製装置(包埋センター)
  2.  滑走式ミクロトーム 
  3.  自動染色装置+自動ガラス封入装置
  4.  自動免疫組織化学染色装置
  5.  凍結ブロック作製装置(ヒスト・テック ピノ)
  6.  凍結標本薄切装置
  7.  ディスカッション顕微鏡
  8.  顕微鏡+顕微鏡デジタルカメラシステム 
  9.  蛍光顕微鏡システム
  10.  安全キャビネット 
  11.  局所排気装置付き切り出し台
  12.  写真撮影装置 
  13.  医療用電動鋸
  14.  オートクレーブ 

研究ほか
徳島大学との多施設共同研究に取り組んでいます。

スタッフ紹介

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石井文彩 いしい あや

病理医師

●病理

日本専門医機構認定病理専門医・研修指導医・学術評議員/日本臨床細胞学会認定細胞診専門医・教育研修指導医/厚生労働省死体解剖資格/日本内科学会認定内科認定医/徳島大学非常勤講師/卒後臨床研修指導医