看護における基本概念
本校の教育課程では、看護学を構成する主要概念を人間・社会・健康・看護の4側面からとらえ、人間を中心に捉え、環境を人間のすべての営みに影響する概念として位置づけた。
看護の対象である人間は、身体的・精神的・社会的存在としての統合体であり環境との相互作用の中で絶えず変化し成長・発達している。
また、人間は成長発達ごとに課題を持つ個別的な存在であり信念、価値観などの固有の自己概念を持つ主体的な存在でもある。
そして、自らの責任において意思決定し、自己表現に向かう存在である。
人間と相互作用をする環境は、自然、文化、生活などの外的環境と身体内部の生理的・心理的機能の内部環境がある。
すなわち、環境は、人間に絶えず働きかけ、人間は代謝活動や生活行動によって相互に影響し合い環境を変化させ、直接的、間接的に作用し健康状態を変化させる。
人間の健康は、個別的、流動的である。その人によって最適最良の健康状態とは、自分の能力を最大限に発揮し自己表現を目指し、環境に適応している状態である。 また、健康は人それぞれが自ら創るものであり、健康をより保持・増進するためには、保健医療・福祉システムが充分機能することが大切である。そのためには、保健医療・福祉システムの中で、看護が充分にその専門職としての独自の役割・機能を発揮することが望まれている。
看護は、あらゆる発達段階、あるゆる健康レベル、そして保健医療福祉施設内外のさまざまな場において生活を営んでいる個人や諸集団に対して、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復あるいは安らかな死への援助を他の保健医療福祉チームメンバーと協力しあい調整する役割を担う必要がある。
特に看護は、独自の役割機能として、顕在的・潜在的な健康問題に対する個人や集団の反応を診断し、対処することにある。看護は、その援助過程において、個人や諸集団が自己管理能力や自立する力を自ら獲得し、QOLの向上、人間としての成長発達や成熟を図ることができるよう支援する活動である。
このような機能を有する看護は、人道主義に基づいて実践され、独自の適切な判断基準や価値観を持ち責務を果たす専門職業である。 即ち、専門職である看護は看護活動の基礎をなす科学や技術が高度な学識により支えられ研究により学問領域を拡大し深めていける領域である。
本校では、上記に示す看護専門職業人としての看護活動を主体的、創造的に行うことができる哲学、基礎的な知識、技術、態度を教授する。