不妊治療センターこのページを印刷する - 不妊治療センター

不妊治療センターのご紹介

口絵イメージ 不妊治療センターでは不妊症でお悩みの方々が赤ちゃんを宿すための相談・治療に取り組んでまいります。まずはご夫婦の現状について詳しくお話を聴かせて頂き、不妊原因を知るための検査を広く行います。検査結果を総合的に判断し、適切な治療方針をたてます。自然な妊娠が得られるように、タイミング指導などの簡単な治療から始めますが、一定期間の治療で妊娠がしない場合や、既に他施設で積極的な治療をしてきている場合は、人工授精や体外受精などの高度な治療法へステップアップしていきます。

当院は総合周産期母子医療センターとして充実した周産期医療を実践しています。この機能に不妊診療を加えることで、子供を授かりたいカップルに対して受精から妊娠成立、妊婦・胎児管理、分娩管理、新生児管理へと、一貫して関わっていくことを目的としています。

体外受精・胚移植について

■体外受精・胚移植とは

体外受精-胚移植を代表とする生殖補助医療は一般の不妊治療とは異なり、精子・卵の受精と胚の初期発育を体外で行う治療法です。現在、我が国では600を越える施設で一年間に数万人の患者さんが治療を受け、6万人以上の赤ちゃんが誕生しています。  

体外受精-胚移植では卵胞を発育させ、卵子を採取し(採卵)、受精させ(体外受精)、子宮内に移植する(胚移植)という一連の治療を行います。

■体外受精の適応

  1. 卵管が両側とも閉塞している人。卵管形成術などの治療が適応外あるいは無効だった人。卵管の機能障害がある人。
  2. 乏精子症、精子無力症、精子奇形症などの男性不妊症で数回の人工授精を行ったにも関わらず妊娠しない人。
  3. 抗精子抗体などが陽性などの免疫性不妊のうち、通常の治療法で妊娠しない人。
  4. 子宮内膜症性の不妊で薬物療法、手術療法を行っても妊娠しない人。
  5. 原因不明の長期不妊の人。

■治療の概要

1)卵巣刺激
体外受精-胚移植では卵胞を発育させ、卵子を採取し(採卵)、受精させ(体外受精)、子宮内に移植する(胚移植)という一連の治療を行います。採卵に至るまでの卵巣刺激は薬剤を用いる様々な方法があり、その選択は患者様の状態により異なります。

 
2)採卵
超音波画像を見ながらに採卵を施行します。原則的には局所麻酔および鎮静剤の併用で行います。採卵は約20分で終了します。発育卵胞数が少ない場合、卵子を採取できない可能性があります。2~3時間ほど安静にして異常がなければ帰宅できます。
 

3)体外受精と顕微授精
通常の体外受精では卵子と運動精子を一緒に培養し、受精が成立します。
体外受精で受精卵が得られない方は顕微授精(卵細胞質内精子注入法)を行います。顕微授精は1個の卵子に対し1個の精子をガラス製の針を使って注入する技術です。

 

4)初期胚から胚盤胞への培養
受精卵の培養を継続すると分割が進み、子宮に着床する直前の胚盤胞まで発育させることができます。当院では主に採卵5~6日目の胚盤胞を用います。
 

5)胚移植
新鮮胚の場合、採卵の2~5日後に子宮腔内へ戻す胚移植を行います。柔らかいカテーテルを子宮内の適所に挿入し、胚を注入します。数分で終了し、痛みはほとんどありません。胚移植後20分程度安静にして帰宅となります。

当院では多胎妊娠を防ぐために、日本産科婦人科学会の勧告に従い、移植胚数を『原則1個』(反復不成功例および35歳以上の症例には上限2個)としております。そのため胚移植しない余りの胚が生じた場合は、次回の治療のために胚の凍結保存をします。
 

6)胚の凍結保存
当院では多胎妊娠を防止するため原則1個(条件により2個)の胚移植を行っています。また、卵巣過剰刺激症候群の危険性が高い場合には、すべての胚を凍結保存しています。凍結保存された良好胚は、次回の治療に用いることができます。国内では凍結・融解胚移植により年間約5万人の児が誕生し、その有益性はほぼ確立されています。
 

■危険性、合併症について

1)卵巣過剰刺激症候群
卵胞を発育させる注射(排卵誘発剤)をした後、排卵を促す注射に切り替えてから数日して卵巣が過剰反応を起こし腫大することがあります。ひどくなると腹水や胸水が溜まったり、血液の濃縮が進んで、時には血管内で血液が凝固し、血栓症(脳梗塞,心筋梗塞、肺梗塞、深部静脈血栓症など)を起こすこともあります。

当院では排卵誘発剤を使用するとき,卵胞発育の経過観察を頻繁に慎重に行います。排卵誘発剤に過剰反応を起こしやすい人や、以前に卵巣過剰刺激症候群を起こしたことのある人に対しては、排卵誘発剤の量を減らしたり、胚移植後の注射を中止したり、移植を行わず全ての胚を凍結保存することで、その発生を予防するよう努めています。しかしこのような方法で予防しても約3%の患者さんには、入院治療を要するような卵巣過剰刺激症候群が発生します。
 
2)腹腔内出血
採卵手術の際に卵胞を穿刺するため、腹腔内に多少の出血がみられます。ほとんどはそのまま吸収されて消えますが、血管の損傷などがあると出血が多量となり、輸血が必要となったり、開腹手術を必要とする可能性も否定できません。わずかながら危険性はあることを留意しておいてください。
 
3)骨盤内感染症
採卵手術後、細菌などによる骨盤内感染を起こすことがまれにあります。その場合、採卵後数日たってから、強い腹痛や発熱が出現します。もともと卵管や卵巣周囲に慢性の炎症がある人に多くみられます。抗生物質の投与により治療します。
 

■料金

43歳未満の人が保険診療の対象です。治療開始年齢が39歳未満では胚移植6回まで、治療開始年齢が40歳以上では胚移植3回まで適用されます。(妊娠+出産を経れば回数はリセットされます。)
以下に保険診療で行った場合の3割負担分を提示いたします。
 
  ○体外受精・胚移植:約12~20万円
  ○顕微授精・胚移植:約12.5万~22.5万円
  (薬剤の種類や量、検査回数、扱う卵子、受精卵の個数により変わります)
 
患者様が負担した額に対し自治体の助成事業もございます。詳しくはお住まいの市町村担当窓口でご相談ください。
 

スタッフ紹介

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檜尾 健二 ひのきお けんじ

不妊治療センター科長
 

日本産科婦人科学会専門医

たくさんのカップルが子供を授かれますよう努力してまいります。

 

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清川 麻知子 きよかわ まちこ

医師(非常勤)
 

日本産科婦人科学会専門医