院長あいさつこのページを印刷する - 院長あいさつ

院長
当院のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。病院長として、ひと言ご挨拶申し上げます。

当院は、140施設からなる日本最大の病院グループである独立行政法人国立病院機構(NHO)の病院として、2013年に主として成人医療を提供していた善通寺病院と、小児・成育医療を提供していた香川小児病院を統合し、新たに発足した病院です。その名前が表す通り、‘誕生’から ‘看取り’まで、そして重症心身障がいのある方にも、あらゆる世代の患者さまに良質で安全な医療を提供し、地域に貢献することを理念としております。当院の起源は、1897年に旧陸軍第11師団の衛戍病院として開設された2つの病院に遡り、120年以上の歳月を経て現在に至っています。現在小児・成育医療は、香川県の総合周産期母子医療センター、小児救命救急センターとして、‘病めるすべてのこどものために’という理念を受け継ぎ、香川県、愛媛県東部、徳島県西部の患者さまに、幅広い専門医療、救急医療、重症心身障がい児(者)医療を提供しています。成人医療は香川県西部医療圏の中核病院として、脳卒中・循環器病センター、骨・運動器センター、女性医療センター、透析センターに加えて、新たに痛みの医療センターを開設しています。また、NHO病院の重要な使命である臨床研究、教育研修にも積極的に取り組んでおり、成育医療、循環器病を中心とした医療の質を高めるための臨床研究、併設する看護学校における看護学生の教育や医学生の長期臨床参加型実習、初期研修医、専門研修医の教育にも病院全体で対応しています。2021年8月より新たに地域医療支援病院の認定を受け、より地域に密着した病院としての歩みを進めています。

始めて当院を訪れた方は、当院の外壁に施されたカラフルなアート(クスノキのこどもと親の木)に少し驚かれるかもしれません。当院は開院当初より、安心・安全で高度な医療を提供すると同時に、患者さまに癒しや安らぎ、喜びを感じていただけるような環境を提供し、患者さまの回復力を高めていきたいという願いから、ホスピタルアートを推進すると共に、ボランティアの方々のご協力による様々な活動を継続して参りました。当院のホスピタルアートに関しての詳細は、特集ホスピタルアートをご覧ください。

当院の理念である ‘わたしたちは あたたかいこころと思いやりをもって いつもみなさまと共にあゆみます’ は、当院が地域の患者さまから信頼され、地域の医療機関の皆さまから頼りに思っていただき、医療や看護をめざす若い人たちから働きたいと思われる病院として、‘高い専門技能’と‘患者さまを思うこころ’の両面を絶えず向上させ、地域医療に貢献したいという職員の思いを表しています。皆さまの人生に寄り添う大切な病院となれるよう絶えず努力して参りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
院長 横田 一郎

■2023年新年のご挨拶―いよいよウイズコロナの時代です―

〈2023年1月〉
新年明けましておめでとうございます。
 
昨年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第6波、第7波に続き、年末から今も続く第8波と、コロナに始まりコロナに終わった1年でした。第6波からはこどもや若い人が感染者の中心となり、当院も小児・周産期の県全体のコロナ患者受入重点病院として増床を2度行いましたが、その度に病床が埋まってしまう綱渡りの1年間でした。しかしながら、要請を受けた県内の過半の感染妊婦さんを受け入れさせていただき、多くの赤ちゃんが無事元気に生まれました。こどもの患者も重症・県外を含めて要請された患者さんをすべて受け入れてきました。また、救命救急センターに搬送され入院が必要な患者さんがコロナ陽性であることが続き、病床が埋まって救急搬送を制限せざるを得ない状態が生じてご迷惑をおかけしたこと、お詫び申し上げます。
 
昨年末にはカタールでサッカーW杯が開催され、日本代表がドイツ、スペインを破ってベスト16に進出し、コロナ第8波で暗くなりがちな私たちの心を明るくしてくれました。2002年の日韓W杯で初めてベスト16に進んでから20年、日本サッカー界はその先の新たな世界にまた一歩近づきました。20年前、2003年を思い起こせば、アメリカがイラクに対する軍事作戦を開始し、圧倒的な軍事力で早期にフセイン政権を倒した年であり、中国や香港で当時の新型コロナウイルス肺炎(SARS)が流行し、多数の死者がでましたが早期に封じ込めに成功した年でした。それから20年、時代は平成から令和へと変わり、今度はロシアがウクライナに侵攻していますが、ウクライナの激しい抵抗と各国の支援により当初の目論見は失敗に終わり、戦闘は長期化しています。また、SARSに替わって3年前に発生した新型コロナウイルス感染症は変異を繰り返しながら世界中に蔓延し、日本でもワクチン接種を繰り返しながら、ウイズコロナの時代への転換をいまだ模索している状況にあります。歴史は形を少しずつ変えながらも繰り返すことを実感いたします。
 
しかしながら、歴史はやはり変わっていきます。新型コロナも、今年はいよいよウイズコロナの時代に移り変わっていくことは、日本全体がその先の新たな世界に踏み出すためにも、通り抜けなければならない道筋だと思います。病院も、ウイズコロナの時代に対応した運営が必要になります。コロナの患者さんをインフルエンザやその他の感染症の患者さんと同じように受け入れつつ、それ以外の様々な病気の患者さんの治療をさせていただくことになると思います。デジタル化により保険証がマイナカードと一体化されたり、オンライン診療など非接触型の医療が今後進むと思われますが、医療・看護の根本には人が人のケアをするという対面型のコミュニケーションがあります。
 
地域医療支援病院という地域と共に歩む病院として、ウイズコロナの時代に対応し、地域の皆様と様々なコミュニケーションをとりながら、アフターコロナの時代をめざして、皆様と共に進んで参りたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 

■令和4年度を迎えてのご挨拶―“つながる病院”を目指して―

〈2022年4月〉

4月、令和4年度が始まりました。
昨年度は、まさに新型コロナウイルスへの対応で皆様の日常も大きな影響を受けた一年だったと思います。当院も第3波の最中である2月、香川県唯一の先行接種病院としてのワクチン接種による副反応情報の収集に始まり、その後の第4,5,6波と打ち寄せては大きくなる荒波にもまれ続ける中で、院内感染防止のための緊張した日々を過ごして参りました。とくに第6波では若い世代で感染が広がったことにより、こどもや妊婦さんの感染が激増しました。当院も通常の医療提供体制を制限して確保病床を倍増しましたが、コロナ病床がほぼ満床となる日々が続きました。要請のあったすべての感染妊婦さんを受け入れ、その中で何人もの赤ちゃんが無事生まれ、元気に退院していくのを見送りました。スタッフにとっては気の抜けない厳しい毎日でしたが、総合周産期母子医療センターとして、コロナ禍でも安心・安全なお産を提供するという使命は果たせたのではないかと思います。

大変な一年ではありましたが、東京、北京で行われたオリンピックでの日本人選手の活躍は、明るい話題として記憶に新しいと思います。柔道、体操、水泳、野球・ソフトボールやスキージャンプ、スケート(フィギア、スピード)といった従来日本が得意としていた競技だけでなく、とくに若い力の活躍がスケートボード、スノーボードなどで見られ、日本の将来を担う若い世代に頼もしさを感じた一年でもありました。

二年間にわたるコロナ禍は、感染拡大防止のためにやむを得ないとはいえ、人と人とのつながりに大きな影響を与えました。歓迎会や送別会などの集まり、地域のお祭りや様々な行事が中止となり、“集まってつながる”機会が大幅に減ったことを実感します。しかしながら、病院の目的は、病に困っている人のこころとからだ両方を癒し、元気になっていただくことにあり、人と人とのつながりは、その目的のために必ず必要な要素です。

そこで、今年度 “つながる”をキーワードに、以下の3点を病院目標として、職員一同地道に努力して参りたいと思います。
 
1.地域医療支援病院として地域とつながり、コロナ禍後を見据えた役割を果たす
当院は昨年8月に長年の念願であった地域医療支援病院の承認を受けました。これにより、今まで以上に地域医療機関の皆様、地域住民の皆様とのつながりを深め、地域における自院の役割を果たしていく必要があります。地域医療機関の先生方からご紹介いただいた患者さんを丁寧に診療させていただき、その後逆紹介させていただくことで、患者さんが地域で安心して療養が継続できる循環の中での役割を果たしたいと思います。また、医療従事者の皆様のお役に立つような研修活動、地域の皆様に参加していただくような催しも行い、コロナ禍後を見据えて地域における役割をしっかりと果たしていけたらと思います。
 
2.専門職として患者さんとつながり、信頼される医療人となる。
病院職員は、それぞれの医療分野の専門家であり、役割をもって病院に勤務しています。専門職である以上、それを医療の進歩に合わせて日々向上させていくために自己研鑽を積み重ねることが求められます。みずからの技能、知識を磨き、それを患者さんに提供することで、患者さんとしっかりとつながり、信頼される医療人となることをめざしていきたいと思います。
 
3.チーム医療を推進して職員同士がつながり、自らの働き方を改革する。
感染拡大の中、休憩時間も黙食、会話自粛の状況で、院内においても職員同士のコミュニケーションをとる機会が減っています。患者さんを中心に、それぞれの職種が手をつないで丸い円となってひとりひとりの患者さんに向き合う病院になれるよう、それぞれの職種の働き方を理解する機会を増やしたいと思います。職員同士がお互いを知り、お互いの役割を尊重して、助け合って患者さんの治療にあたることで、自らの働き方を改革することにもつながると思います。
 
令和4年度もまだまだアフターコロナというには遠い日常が続くかもしれません。しかしながら、いつか必ずコロナの時代は終わると信じ、今年度も地域のお役に立てる病院として、皆様と共に歩んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 

■2022年新年のご挨拶 ―アフターコロナに向かって―

〈2022年1月〉
 
新年明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第3波の最中に始まり、4~5月の第4波、7~9月の第5波と、繰り返し打ち寄せては大きくなる波にもまれ続ける1年でした。第5波では千葉県で感染した妊婦さんの入院先がなく、早産で赤ちゃんが亡くなるというショッキングなニュースがありましたが、当院も特に周産期・小児領域では県全体の重点医療機関としての役割を期待されており、緊急に対応病床を増やして受け入れを行いました。この間、入院中の皆さまには、診療看護体制確保のために病床の移動などご迷惑をおかけいたしましたこと、お詫び申し上げます。

2月には香川県唯一の新型コロナウイルスワクチン先行接種対象病院として、接種後の副反応に関する国の調査研究事業に協力して、ワクチンの安全性に関する検証を行った後、その後の地域の医療従事者の方々への優先接種、香川県が四国学院大学で行った県西部の集団接種を担当し、ワクチンがより多くの方に迅速に行きわたるよう努めてまいりました。そのような中、第5波の最中に行われた東京オリンピック・パラリンピックは、開催の可否について様々な意見がありましたが、先が見えず暗い気持ちになりがちな私たちの日常を日本人選手のメダルラッシュで少し明るい前向きな気分にさせてくれたと思います。総理大臣が交代して4年ぶりに総選挙も行われ、今年は日本全体がアフターコロナへと少しずつ歩みを進めることを期待しております。

現在、ワクチン接種が進んだ効果もあるのか、第5波は収まり、県内の新規感染者ゼロという状況まで改善がみられています。しかしながら、オミクロン株の出現により、第6波はかならず来るという前提で対策を立てておく必要はあり、もし第6波がさらなる大波となって襲来した暁には、当院においても救急など地域で必要な医療をどれだけ守りながら対応できるか、ぎりぎりの状況が想定されます。今後も感染対策には万全を期して診療に当たって参りますが、入院患者様およびご家族の皆様方には、面会禁止、制限の措置を引き続きお願いする必要があり、また外来患者様には、受診時の体温測定や問診など、お手間をいただいておりますが、皆様方が安心して病気の療養に当たることができますよう、ご面倒をおかけすることをお許しください。

厳しい1年ではありましたが、昨年8月には長年の懸案であった地域医療支援病院としての承認を受けることができました。連携医療機関の先生方との開放病床の運用も順調に始まっています。当院が今後も地域に求められ、地域医療を守っていく病院として連携医療機関の先生方、地域の皆様方に認められていくためには、‘地域と共に歩む’姿勢をさらに進めることが必要と思います。連携医療機関の先生方や職員の皆様、行政の方との講演会や研修会など様々な連携活動、K-MIXなど医療DXの活用による情報交流促進、病院フェスティバル、公開講座、出前講座、アートプロジェクトなど地域の皆様方との交流やわかりやすい情報発信など、コロナ禍でできていなかった活動を今年は徐々に拡げていけたらと思っております。また、災害拠点病院として、コロナだけでなく南海トラフ地震など起こり得る災害に備える防災訓練を積み重ね、万が一の時に地域を守る拠点としての役割を強化していきたいと思います。
 
ウィズコロナからアフターコロナへ時代が向かうには、私たちがその先の時代への希望をもち、団結してその場所をめざしていくことが必要です。地域に不可欠なインフラとして皆さまのお役に立ち、地域を元気にできる存在となれるよう当院も引き続き努めて参ります。

本年も変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。