Hospital Art Concept
MAMA ENE HOSPITAL
一年を通じて四季の変化を敏感に感じ取り、
古来より詩歌や掛け軸、生け花など、その生活の随所に
「自然の美」を取り入れながら生活してきた日本人にとって、
常に自然は身近にあり、心に潤いを与えてくれるものでした。
病院での辛い治療中にあっても、人間は自然の一部であるということを忘れず、
自然の持つエネルギーに触れて欲しい。
その想いから院内に様々な形で「自然のかけら」を取り込みたいと考えました。
善通寺という「場」の力を常に意識しながら、
母なる五つの要素※(地・水・火・風・空)をアートで表現しました。
(※ 隣接する総本山善通寺の五重塔に由来)
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MAMA ENE HOSPITAL コンセプト
病と闘うために、日々細分化され進歩し続ける力強く父性的な医療という営み。 その中にあって病院におけるアートの役割とは時に闘うことを離れ、そこで起こるすべての営みを根底からありのままに受け止めるという、もう一つの母性的な視点(まなざし)として存在することだと考えています。
病院におけるアート活動の目的
院内に存在するすべてのアートは、患者様の快復と幸せを祈る医療スタッフの「想い」の結晶です。目に見えない「想い」をどのようにかたちにしてゆくか。 「現場」の声に耳を澄まし、医療スタッフ、作家、さまざまな分野の専門家と話し合い、アートを媒体にして院内により豊かな医療空間を創出してゆくことを目的としています。
ホスピタルアートディレクター 森 合音
地
内壁画・サイン・造形物・家具など
「自然をお手本に」がキーワード。
「それぞれの場で提供される医療サービス」に調和する色と形を追求しました。
成人エントランス 「こもれびのオブジェ」
成人エントランス柱の上部に設置された「こもれびのオブジェ」は、旧善通寺病院に関係する多くの人たちの手によって制作されました。
様々な風合いの和紙を木の葉の形にちぎり、FRP(ガラス繊維強化プラスティック)の中に漉き込みオブジェを制作。内側から光をあてました。
和紙の葉の隙間からこぼれる光が、待ち合い空間を優しく包みます。
新病院建設に際して、「アートで善通寺病院の歴史や伝統を受け継ぐものを」と考えた時、人の手のぬくもりを想いました。 遠い過去からこの場所で、「手あて」をし続けてきた人々のぬくもりが、いつまでも変わらず来院する方々に届きますように。葉っぱ一枚一枚に祈りを込めて。
成育エントランス からくり時計「このき」
子どもたちは特別な時間の中で生きています。そのみずみずしい感性や尽きることのない好奇心は、時々、大人たちの価値観をいとも簡単にひっくりかえしてしまいます。 そんな子どもたちの無限のエネルギーを信じている作家と、子どもたちが一緒に創り上げた世界に一つだけのからくり時計です。 たとえ身体は思うように動かなくても心の中のイマジネーションの世界は無限に広くどこまでも自由です。
病院を訪れる子どもたちが、このからくり時計によって想像力を刺激され自分の中にあるイマジネーションの世界をどこまでも旅してくれることを祈って。
3つのニッチ
閉鎖的になりがちな院内の随所に、季節や変化を感じられるような「ニッチ」(壁の一部を凹ませて作った飾り棚)を設置。
- アートのニッチ
月に一度作品を入れ替え、身近な素材で四季を表現。 - お花のニッチ
週に一度花を入れ替え、「いつかは枯れてしまう」様子も含め、本物の花のエネルギーを届けます。 - 扉のついたニッチ
患者様やご家族、ボランティアさん、病棟コンシェルジュによるメッセージとギフトが不定期に届きます。見つけた人は誰でも持ち帰ることが可能。病院の片隅で交わされる心の交流の「場」として。
メディテーションルーム
ケアする人のケアスペース。落ち着いた色彩の内装に、やわらかな照明。ゆったりと座れるリクライニングチェアー。月ごとに流れる音楽が替わります。 日々、細心の注意をはらいながら医療に従事しているスタッフにとって自身のケアはとても重要。業務の合間に気分を切り替えるためのスペースとして。 毎月世界中から様々なジャンルの音楽を届けます。
水
ー命の始まりの場ー
火
ー観る人の心に「ぽっ」と火を灯すような外壁画ー
風
ー穏やかな風のようにここちの良い空間を演出する院内絵画ー
空
ー「空」に向かって、ゆっくり深呼吸できる屋上庭園ー