タイ小児科医学会での講演・発表とヤンゴン小児病院
2018年6月20日~22日にタイ王国で開催された第19回小児科医学会(バンコク)で講演・発表を行い、ミャンマーのヤンゴン小児病院へ、視察に行ってきました。
当院の姉妹病院であるクイーンシリキット国立小児病院(Queen Sirikit National Institute of Child Health;QSNICH)との病院提携(memorandum of understanding; MOU)の活動の一環で、毎年、四国こどもとおとなの医療センターから小児科医学会に参加し、講演・発表をしています。2018年5月24日~5月26日に当院で開催し多くのアジア諸国から参加いただいた第4回アジア国際小児医療学会(AMCCH2018)もMOUとしての活動であり、病院間の学術交流事業は毎年継続されています。
第19回小児科医学会のテーマは、”Innovative Strategies and Future Technologies in Pediatrics”(小児科における医療技術の革新的戦略)であり、当院院長が、電子カルテを含む日本の医療情報分野の現状や当院での医療情報システム推進の取組みと今後の戦略についての講演を行いました。この講演は、タイ王国だけでなく東南アジア諸国の小児科医の方々に大きな関心をもっていただけたようで、会場からは多くの質問をいただきました。
当院臨床研究部長は「血尿診療へのアプローチ」と題して、日本の腎臓関連の診療ガイドライン作成・推進の現状を含めた診療ガイドラインに基づく教育的な講演を行いました。 その他、当院からは専攻医(新専門医制度後期研修医)、初期研修医(初期臨床研修医)、看護師が参加し、症例の発表や看護研究の報告をしてきました。
この会には東南アジア諸国の小児科医が参加しており、アジアの小児科医の国際シンポジウムの様相を呈しています。もちろん懇親会においても、タイ王国ならびに東南アジアの参加国との文化的交流にも努めました。私達の活動が、小児科のみならず日本の国際文化交流として微力ながら貢献できているのではと思っています。 更に、当院からの参加者はQSNICH病院の見学にも行きました。QSNICHは、タイの小児医療の中心で、病院・医療機器類は、すでに日本と変わらない状況です。見学者はフルーツパーティーでQSNICHの医療従事者との親睦を図りました。今年度はQSNICHの医療の質の向上のため医療マネジメントを勉強するため、11月と1~2月にQSNICHの3名の医師が、当院へ見学(1ヵ月程度)する予定です。本院としても今後も積極的な人材交流を進めていきたいと思います。
また、この第19回小児科医学会には、ミャンマー小児学会会長であるKyaw Linn医師もシンポジストとして講演を行なっていました。当院で毎年開催しているAMCCHの会議にも参加していただいているLinn医師は、今年のAMCCH2018でも特別講演をしていただいています。当院スタッフとは国内外の学会での交流を続けていることもあり、今年はタイ王国の学会終了後に、当院院長、臨床研究部長、研究員の3名で、ヤンゴン小児病院を訪問することになりました。 ヤンゴン入りして、まず目についたのは大きなパゴダ(寺院)でした。パゴダはミャンマーの文化・観光の遺産です。ヤンゴンの都市の外観はバンコクと異なり、これから日本をはじめとする諸外国が支援・参入が始まる状況であることが理解できました。その状況は、ヤンゴン小児病院の視察を通じて、小児分野のみならず全ての分野で積極的な支援が必要だと感じました。 Linn医師を含め、現地院長や他の医療スタッフとの会談では、ヤンゴン小児病院の医療技術の向上を推進するために、当院との人材・医学・学術的な交流をすすめたいとのコメントをいただきました。
四国こどもとおとなの医療センターには、地域の中核病院として日本の地域医療を支える最大の使命がありますが、私達が地域医療で培った診療技術で、東南アジアをはじめとする国々の医療を支援し貢献していくことも、病院としての責務ではないかと考えさせられる視察となりました。地域の小児医療の中核病院として、香川県・四国・日本国内外で貢献できるよう引き続き努めていきたいと思います。
最後に、四国こどもとおとなの医療センターで行なっている、国際関係・協力・支援は「アジアの子ども達を守る会」に支えられております。ご支援をいただいている関係者の皆様に、この場をお借りして深謝いたします。