臨床研修指導医養成研修に参加して〈2020年1月9-11日〉
この度、令和2年1月9日から1月11日まで、高松センタービルで開催された令和元年度 中国四国グループ 臨床研修指導医養成研修に参加させていただきましたので、そのご報告をさせていただきます。
3日間のワークショップを主体とした形式の研修会で、中国四国の国立病院機構に勤務する医師を中心に24名が参加し、11名のスタッフの方にご指導をしていただきました。A・B・Cの3グループに分かれて、様々なテーマに沿って各グループで議論、作業、発表を行いました。参加者はいずれも7年以上の臨床経験を有する医師ではありますが、従事している診療科や出身大学もバラバラであり、多くの刺激をもらいました.また、普段し慣れない作業を目の前に,あたふたとする場面が多くありました。
1日目は参加者の紹介やワークショップ等の言葉の紹介もそこそこに、「地域社会から求められる医師の基本的臨床能力」という議題で討論をし、また研修プログラムの立案も行いました。各グループで特色のある意見が出され、プログラムを実際に作成する手順を自分たちの手を動かしながら学んでいきました。一般目標GIO、行動目標SBOsなどの医学教育用語を理解することができ、今後の臨床研修医指導に活かすことができるように思いました。
2日目は1日目より深く具体的に研修プログラムを作成していきました。私はAグループに属して作業をしましたが、週間スケジュールを考えることがグループ内で苦労したように思いました。外来と病棟の研修のバランス、また特殊な検査や自主学習の時間など、実際の自分たちの経験に照らし合わせながら議論を重ねて、より実践的で実現可能な研修方略や研修スケジュールを組むことができたように思います。
また、指導医、研修医、患者の各配役に分かれてのロールプレイも行われました。各グループで、良い指導医、優柔不断な指導医、研修医を信じない指導医に分かれてシナリオを作成し、それを元にして各配役のメンバーがストーリーを演じました。私は優柔不断な指導医のもとで診察される患者役をやらせてもらい、劇中の医師たちに対してとても歯痒い思いをし、患者さんの気持ちになって診療を考えることができました。
夕方には特別講演として、中国四国厚生局で臨床研修審査専門員をされていらっしゃる浜田医療センター副院長の飯田 博先生をお招きいただいて、医師臨床研修制度についてのご講演をいただきました。その中で、令和2年度からの制度の変更点として、7科目が必修となる点や、一般外来研修も必修となる点などをご説明いただき、多くの情報を得ることができました。
夜には情報交換会を企画していただき、各病院からの参加者との交流を深めることができました。会の途中には、最優秀グループの表彰や、鋭い質問や良い意見を出した個人に対する褒賞も準備されており、スタッフの先生方の気遣いに驚きました。また、研修会の中で行われたロールプレイの演技に応じても、褒賞を準備して頂いていました。偶然だと思うのですが、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞の3賞を、当院からの参加者が総舐めすることができ、大変喜ばしく思いました(ちなみに私は助演男優賞でした)。
3日目はSEA体験(有意事象分析)をすることからのスタートでした。自分自身で経験した陽性感情または陰性感情を惹起した出来事を記述・分析して、各グループ内で共有をしました。各メンバーが経験してきたことを模擬体験でき、そこから学び取れたことまで共有できたのは、非常に意味のある経験だったと思います。臨床研修現場の問題点と対応についても意見を出し合い、発表しました。研修医側・指導医側の問題点、制度自体の問題点、地域的な問題点など、様々な問題点が浮き彫りとなりました。その中で、どういう風に解決に導いたら良いのか、具体的な解決策やアイデアを多く吸収することができ、大変参考になったと思います。
この3日間を通じて、指導医として大きく成長できたと思います。これを現場での臨床研修医教育に活かしてこそ意味があると思うので、今まで以上に積極的に、臨床研修医の教育に携わっていきたいと思います。
最後になりましたが、3日間も私の病院業務を代行してくださった当院小児科、小児神経内科の先生方に、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
小児神経内科 藤井 朋洋