第73回国立病院総合医学会〈2019年11月8-9日〉
2019年12月18日掲載
令和元年11月8日(金)、9日(土)に名古屋国際会議場で行われた第73回国立病院総合医学会に参加しました。学会のテーマは、「令和における国立医療の挑戦 ~明日は変えられる~」で、新しい年号がスタートする年と国立病院機構の第四期中期計画がスタートする年であること、そして、先端技術を取り入れつつ、ニーズに合わせて柔軟に進歩していこうということの意味を含んでいるそうです。
特別講演では、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの宮野悟先生から、人工知能を用いたがんゲノム研究と医療という題で、人工知能に遺伝子の変異情報を学習させてゲノム情報を解析し、診断に利用する試みについてお話があり、最先端の技術を用いた医療開発の現状を聞くことができました。今年6月からがんゲノム医療が保険適用されて全国的に開始されています。基調講演でも、国立がん研究センター理事長の中釜斉先生から、がんゲノム医療の状況についてお話がありました。がんゲノム医療は、がん遺伝子パネル検査という遺伝子検査によって、患者のがん細胞の性質に応じて有効な薬を選択して使用する治療です。保険適用で受けることができる患者さんはいくつかの条件を満たす必要があり、全国的に実施している病院も限られています。
今回、私は2回目の参加ですが、国立病院総合医学会は全国の国立病院機構の施設が集まって毎年開催されています。病院で働く全職種からの発表があり、発表内容は非常に多岐にわたっており、ポスター会場や口演会場は同窓会的雰囲気を醸しつつも活気があり、各施設の情報交換の場として機能していました。
私自身は「コメディカルを対象とした臨床研究教育のための臨床研究部講座開設の試み」という題でポスター発表を行いました。私の所属する臨床研究部では、昨年度から臨床研究を行うために必要なことを、研究的疑問の立て方から始まって、文献検索方法、計画書の作成方法、研究倫理、学会発表や論文作成でのノウハウまで、一連の流れについて、研究を始める初心者向けに簡単な講座を始めました。そのことについて発表したところ、ベストポスター賞をいただきました。セミナーにご協力いただいている講師の先生方、参加いただいた皆様、この場を借りてお礼申し上げます。
臨床研究部 小児ゲノム医療研究室長
片島 るみ