タイの国際学会に参加しましたこのページを印刷する - タイの国際学会に参加しました

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 6月19日~21日に開催されたThe 20th Annual Pediatric Meeting of National Child Health 2019でポスター発表をするためタイに行ってきました。この学会には、アメリカやフィリピン、シンガポールなど様々な国から医療関係者が参加していました。国際学会への参加は初めてだったので、発表の聴講ができたことは、とても貴重な経験となりました。

ポスター発表について
 私は重症心身障害児に腹部マッサージを実施し、排便コントロールを行うという取り組みについて発表しました。日本とタイでは重症心身障害という枠組みが異なるようで、その枠組みへの関心から、腹部マッサージの方法や効果まで幅広く質問を受けました。慣れない英語での発表や質疑応答は大変苦戦しましたが、言葉の壁があったぶん、相手の表情をよく見たように思います。この方には、私の発表内容が伝わっていない、この方には分かってもらえているなど、相手のリアクションに対してとても敏感になりました。後にも触れますが、コミュニケーションの在り方について見直す機会にもなりました。言葉の壁は通訳の手を借りつつ、私は身振り手振りやデモストレーションを通して、なんとか発表を終えました。 

 

レセプションパーティーについて
 発表当日の夜は、レセプションパーティーでした。パーティーでは私の名前ではなく、「Abdominal Massage (腹部マッサージ)」と呼ばれることもしばしば。午前中のポスター発表が、聴講者の印象に残っていたことを嬉しく思いました。パーティーでは歌って踊って食べて。ステージでは、タイの看護師が日本の歌を歌ってくれました。また、踊りの場面ではタイの医師や看護師が私の手をとりステップを教えてくれ、みんなで輪になって踊りました。日本からきた私たちのために、私たちが喜びそうなことを次々と展開してくれ、私たちが打ち解けやすいように自然に手をとってくれる、そんな心のこもったおもてなしを受けました。自然と心が温かくなり、ホスピタリィについても考えさせられる時間となりました。

  

今回の経験を振り返って
 ポスター発表やレセプションパーティーと通して、コミュニケーションの在り方やホスピタリィ精神について、考え直すことができました。コミュニケーションでは、相手の表情を読むこと、伝えようとする気持ちを大事にすること、相手に合わせた伝え方を工夫することの大切を学びました。ホスピタリィについては、相手を思いやる気持ちと、そこに生じる相互満足を体感できたことで、今度はこの経験をどのようにして相手に伝えていくかを考えるようになりました。今回の経験は、看護の場面にも共通することが多いと思います。この経験を活かし、自分の看護を考え実践できるように挑戦していきたいです。

ももいろの丘病棟
浅野裕衣

 

 3日目にはポスター発表をしました。まず、タイでの学会発表の話をいただいたとき学会発表が初めてだった私にとってさらに英語での発表であることを聞いたときは、不安でいっぱいでした。病棟医長に指導を頂きながらポスターを作成しました。発表当日私は、英語が得意ではなかったので、I’m not good at speak English.(私はあまり英語が得意ではありません)と前置きをしてから発表を始めました。日本語英語ではありましたがなんとか伝えようと注目してほしいところを指したり、分からない部分は一緒に発表をした医師に助けていただきながら発表をしました。質問もいくつかあり、準備から発表まで多くのサポートを頂き無事終えることができたと思います。
 4日目は、タイのクイーンシリキット国立小児病院へ見学に行かせていただきました。まず病院を目にしてその大きさに驚きました。クイーンシリキット国立小児病院にはタイ国内の子どもだけではなく、国外からも来ているそうです。そのため、増築に増築を重ね大きな病院となっています。小児分野に特化しており専門分野も細分化され、専門医が多く常駐しています。また、私たちの病院と同じように院内の壁などにはイラストが一面に描かれており、病院に来ているという感覚がなくなるようでした。病院に来ること自体、親や子どもにとって強いストレスを感じています。子どもが好きそうなイラストなどを飾り、殺風景になりがちな病院の雰囲気をいい意味で崩すことで心に安らぎをもたらし治療に取り組みやすくなると思いました。
 輸液ポンプや人工呼吸器など医療機器は日本で使用しているものと同じものが多かったです。PICU(小児集中治療室)では看護師が家族に吸引の指導をしている場面があり、国は違いますが看護師として家族の関わりは同じであると感じました。
 マクドナルハウス(病気の子どもの家族が利用できる滞在施設)にも見学に行かせていただきました。国外からも通院している子どもたちが多くいるなかで患児や家族にとってなくてはならないものであると思います。

 

 5日目は、学会に参加した他国のスタッフたちと一緒に寺院や水上マーケットに行き異国の文化に触れました。
 この日タイに来て初めて屋台で食事をしました。日本の屋台とはその環境の違いに驚き最初はためらいもありましたが現地の暑さと雰囲気で食べるタイ料理はとでもおいしかったです。辛さ控えめなトムヤムクンを注文しましたがうまく伝わらずスパイシーで激辛なトムヤムクンがでてきたのはいい思い出です。



 今回、タイで学会発表、病院見学を行い看護師3年目として感じるものが多くありました。日々の業務の中でこの経験を活かしていければと思います。このような機会を頂き病院長、スタッフの皆さまには感謝申し上げます。

ぶどういろの丘病棟
安井 樹