タイの小児科医師の研修
「来月、タイから小児科の先生が来るからよろしくお願いします。英語で大丈夫なんで」
そう言われたのが10月のことだった。我々児童精神科は主に発達障害を扱うことが多いのだが、その複雑な疾患概念や患者背景などについて英語で説明するにはどうしたらいいんだろう、そもそもどんな人なんだろうと、皆戦々恐々としており、とりあえず『英会話フレーズブック』なるものを買ったが、当然日常会話しか載っておらず、半ば「なるようになれ」という気持ちで当日を迎えた。
病棟に現れたのは、なんとも柔らかい雰囲気で、笑顔の素敵な女性だった。名前はWaralee Dejputtawat先生。ファーストネームのワラリーは読めたが、ラストネームは何度聞いても発音できず、初っ端からそのことでひとしきり盛り上がり、打ち解けるのに時間はかからなかった。こどもたちともすぐに仲良くなった。よかった、すごくいい人だ。英語もそんなに難しいこと言わないし。
当科での研修内容は、主に、外来業務、病棟業務の陪席だった。診療についてタイと日本で異なる部分は多く、特に乳幼児の発達検査はタイではしないとのことで、とても熱心に見学されていた。当院の特徴であるホスピタルアートやボランティア活動にも大変興味を持たれており、ボランティア風景を見てもらったり、実際にものづくりを体験してもらったりした。どの体験も一つ一つが新鮮だったようで、こちらとしても非常にうれしく思う。
観光地巡りや日本食も大いに満喫されたようでなにより(この旅で四国4県制覇!)。最後には「タイにも遊びにきてね」と、丁寧なお手紙をいただいた。いつか遊びに行こうと思う。