モンゴルでの心臓検診に参加してこのページを印刷する - モンゴルでの心臓検診に参加して

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 NPO法人であるハートセービングプロジェクト(HSP)は、こどもの心臓病を地方検診あるいはモンゴル国立母子保健センターでのカテーテル治療を目的とする団体で、2001年よりモンゴルで医療活動を行なっています。 私は2016年10月に初めてHSPに参加してから、この度3回目の渡航医療活動となりました。
 今回参加したメンバーは、愛媛県立中央病院の山本医師、東邦大学の矢内医師、札幌医科大学の谷口看護師、モンゴル国立母子保健センターの医師、通訳の日本人と現地のHSPスタッフ2名の9名での活動となりました。 

 

 8月8日から成田から直行便でウランバートルに行く予定でしたが、台風13号の影響で成田から出発することができず、急遽新幹線で福岡まで移動し福岡から仁川経由でウランバートルに行くこととなったため、ウランバートルに到着したのは9日の朝6時でした。  モンゴル国立母子保健センターで早速10時から心臓検診(センターで経過観察している人および後日カテーテル治療する予定の患者さんの術前検診)を3人で手分けして合計80人心エコーを施行し、現地医師および家族に病状を説明して夜8時頃まで診療がありました。

 翌日、私たちの今回のメインである地方検診に朝5時の飛行機でウランバートルから約1000km離れたゴビアルタイに出発しました。ゴビアルタイはモンゴルの南西部に位置し、ゴビ砂漠とアルタイ山脈から命名されています。標高が2000mを超える髙地のため、8月の季節は非常に涼しく、最高気温が20度程度のため、日本の猛暑から避暑に来た感じで過ごしやすく快適でした。ただ標高が高いため酸素が薄く、我々の酸素飽和度は90%程…これは、静かにしている限りは問題ないのですが、ちょっと走ると息切れが起こる状況です。飛行機でゴビアルタイに到着したら、道なき道を2日間かけて車で来られたHSPの現地スタッフと合流し、ゴビアルタイ県立病院へ。ここでの検診は今回で2回目とのことで、125人の子どもたちの心臓検診を2日間かけて実施しました。 




 モンゴルの地方はJICAなどの支援が行われていますが、医療環境はまだまだ遅れており医療資源がほとんどない状況です。そのため今回の様に、あらかじめHSPのチームが来ることが分かっている場合には、500km以上離れた他県からも受診に来られます。モンゴルには全21県あり、HSPは年に2回地方検診をしていますが、ゴビアルタイの様な地方になると、その検診は10年に1回程度になることもあるそうです。

 検診ですから多くは正常ですが、異常があってもモンゴル国立母子保健センターまで行けない子どもたち、何とか手術を海外などで受けたが、その後経過観察ができていない子どもたち、新たに心臓病がわかった子どもたちを診察し、モンゴル国立母子保健センターと今後の方針を決めていきました。 後日、モンゴル国立母子保健センターへ戻り、HSPのカテーテル治療班(4名の医師、1名の看護師)と合流し9件の心房中隔欠損、動脈管開存のカテーテル治療にも参加してきました。

 HSPは小児循環器の分野でありますが、日本国内から優れた医療人が参加してくるため、この活動をきっかけに友人となった多くの方々に、帰国後も日常診療で困った場合でも相談できるなど、非常に有意義な活動であると感じており、今後も続けていきたいと考えております。