〈こども〉 vol.03 ひじが痛い時の看護のポイントこのページを印刷する - 〈こども〉 vol.03 ひじが痛い時の看護のポイント

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 2歳の子供の母親です。このごろはダメと言っても聞き入れず、興味のある方へ走り出したりします。
 ある日、また飛び出そうとしたので、手首を強く握ってひっぱると「ポキッ」っと音がしました。それから泣き出し、手を動かそうとしません。泣き止んでも手を動かすとまた泣き出します。手首が赤くなったり、腫れたりはしていないようなので好きな絵本を持たせて痛いほうの手でページをめくるか、好きなお菓子を持たせて痛いほうの手で持つか、しばらく様子を見ていたら、動かしては泣いていましたが、そのうち泣き止み、手を動かしだしました。  

Q 骨がどうにかなっていたのでしょうか
A これは「肘内障」というケガ(外傷)だったと思われます。肘内障は小児の四肢の外傷の中で最も頻度が高い疾患です。手を引っ張られた際に、肘関節の輪状靱帯という靱帯が、骨からはずれて関節内に挟みこまれることで起こります(図1b.矢印)。

 肘内障では通常、腫脹や出血は見られません。図2のような整復操作で、はずれた靱帯は比較的簡単に整復されます。また、肘を動かしているうちに自然に整復される場合もあります。

 

Q すぐに病院に行ったほうがよかったのでしょうか? 
A このお子さんの場合ですと、手を動かしては泣いていたとのことですので、少しでも早く痛みをとってあげるようにしたほうが(受診した方が)よかったのではないかと思います。肘内障の場合には泣いて受診するお子さんは比較的少なく、最も多い主訴は「手を動かさない」ということです。泣くほどの症状がある場合には、ほかの外傷の可能性もありますので、早めに受診することをお勧めします。  

Q どんな対処方法がいいのでしょうか? 
A ご相談のケースでは、痛い方の手で本のページをめくらせたり、お菓子を持たせたりしたようですが、一般に痛みがある場合にはその手はあまり使わせないほうがよいと思います。症状をみる場合には、無理に何かをさせるのではなく、子供を自由に遊ばせて、その動きを観察することをお勧めします。冷たいタオルで冷やしたり、湿布を貼ることは問題ありません。1~2回肘内障を経験して、再び同様の症状となった場合には、図2のような整復法を自宅で試みてもよいと思われます。  

Q 同じ事が3回ありましたが,どんな事に気をつけたらよいでしょうか?
A 肘内障は手首を強く引っ張ることで受傷することが多い外傷ですので、当然手を強く引っ張らないように注意していただくことが大切です。どうしても手を引く際には、肘や上腕の部分を持てば肘内障になることはありませんし、また肩関節が脱臼するということはまずありません。  

Q 何歳くらいまで気をつけなければなりませんか?
A 2~3歳のお子さんが受傷することが最も多く、5歳頃まで(幼稚園児まで)は注意が必要です。小学生では起こりにくくなります。当院での最高齢は7歳でした。