〈おとな〉 vol.02 動脈硬化性疾患について
日本人の三大死因は悪性腫瘍・心疾患・脳血管疾患であり、後2者は動脈硬化が原因の心筋梗塞・狭心症・閉塞性動脈硬化症・脳梗塞が主なものです。いずれも臓器への血液の供給不足(虚血)が原因の病気です。
狭心症を例に挙げると、運動などで心臓が活発に動けば必要な血液が増えますが、動脈硬化のため血管が細いと十分な血液を運ぶことができず虚血状態になります。狭窄の程度が虚血の程度と関係していますが、血管径が50%程度の狭窄(面積にすると25%に減少!)でさえ症状は出ません。つまり、胸痛などの症状が出た場合には動脈硬化が進行しかなり血管が狭くなっている場合が多いのです。以下に挙げた症状の場合には、続けて書かれた疾患の可能性があります。
運動時の胸痛/締め付けられるような痛み/休むと良くなる/背中の痛み 左肩や左顎への放散痛/呼吸苦/息切れなど
→ 狭心症
30分以上持続する胸痛・背部痛/冷や汗や吐気を伴うことが多い/呼吸苦/息切れ
→ 心筋梗塞
安静時の足先のしびれ/冷感・冷え/足裏の違和感/長い距離を歩けないが休むと良くなる/足先の色が悪い/足の傷が治りにくい
→ 下肢閉塞性動脈硬化症
多くの降圧薬を飲んでいるのに血圧が下がらない
→ 腎動脈狭窄症
顔面や体の片側がしびれる・動かしにくい/呂律が回らない/他人の言葉がわからない(脳卒中のところで詳しく書かれています)
→ 一過性脳虚血発作・脳梗塞
これらの病気は血流が途絶して臓器のダメージがあると後遺症を残してしまいます。症状が軽いうちに早めに受診して検査を受けておきましょう。金銭的/時間的/身体的な負担が少ない心電図・エコー・ABI・CTなどの検査でわかることが多いです。
症状があてはまる方は手遅れになる前に、ぜひ外来を受診してください。