〈おとな〉 vol.01 白内障と緑内障についてこのページを印刷する - 〈おとな〉 vol.01 白内障と緑内障について

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 白内障は、眼の中のレンズ(水晶体)の濁りです。水晶体は、若いころは透明ですが、だいたい60歳くらいから自然に濁り始め、徐々にすりガラスのようになってゆきます。これが白内障です。眼の中にすりガラスのついたてが立っているような状態です。軽度のうちはあまり症状がありませんが、進行すると視界はかすみ、眼鏡をかけてもはっきり見えなくなります。
 白内障は加齢による老化現象なので、今のところ予防する方法はなく、例えば70歳で白内障が全くない(つまり水晶体が完全に透明な)人は存在しないと思われます。加齢以外の要因としては、紫外線、喫煙、眼球打撲、糖尿病などが発症・進行を早めます。
 老化現象なので、薬はあまり効果がありません。白内障に限らず、老化を元に戻す(つまり若返る)薬は残念ながらありません。治療には手術が必要です。手術時期としては、眼鏡で合わせても視力(0.7)が見えにくくなるころが適当、というのが一般的な考え方ですが、各人のご希望やライフスタイルや眼の使いかたなどによって違います。  手術は一般に局所麻酔で行い20分程度です。入院せずに行っている施設も多いですが、当院では安全性を考えて一泊は入院して頂いています。  

 緑内障は、眼圧によって眼の底の神経細胞が徐々につぶれてくる病気です。眼の中ではつねに「房水」という水が作られていて、それが少しずつ眼球から外に漏れ出しています(涙とはまた別です)。作られる水と、漏れ出してゆく水のバランスによって、眼球には常にある程度の「張り」があります。この「張り」が眼圧です。眼圧の正常値は10~20mmHgですが、この圧力は生まれてからずっと眼の中にかかっています。中年以降になると、この圧により少しずつ網膜の神経細胞が圧迫されてつぶれてくることがあります。すると、つぶれた神経細胞のぶんだけ視野が欠けます。これが緑内障です。もちろん眼圧が高ければつぶれやすいですが、圧が低くても網膜の神経細胞の強度が低いとつぶれてくることもあります。白内障が老化現象であり、お歳をとれば皆さんに起こってくるのに対し、緑内障はあくまで病気です。緑内障の頻度は、40歳以上の方の3.5%~4%くらいと言われています。
 治療は、眼薬で眼圧を下げて、眼の神経細胞が「これ以上つぶれにくくする」ことです。残念ながら、すでにつぶれた神経細胞は再生できません。放っておくとどんどん悪くなるので、今の時点で止める、止められないまでも進行を遅くする、というのが現在できる治療です。  

 頻度は低いですが、房水の漏れ口が突然ふさがって眼圧が急上昇する、別のタイプの緑内障もあります(閉塞隅角緑内障)。頭痛や吐き気を伴うので、内科的な病気と間違われやすいですが、片目がかすんで充血する、瞳孔が開いていて光を当てても縮まない、などの兆候があればこの病気を疑います。通常の緑内障とは異なり、初期にレーザー手術を行うことができれば完治します。