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Hospital Play Specialist(以下HPS)
ぶどういろの丘病棟 / 福田泰世

 こんにちは♪ 保育士の福田です。スキルアップ資格、ホスピタル・プレイ・スペシャリスト(以下:HPS)についてご紹介したいと思います。

 HPSは遊びを用いて医療環境をチャイルドフレンドリーなものにし、子どもたちが医療経験を肯定的に捉えるようにするため小児医療チームの一員として働く専門職です。
 HPSの教育は1960年代に英国ではじまり、日本では平成19年度より静岡県立大学短期大学部で文部科学省の委託を受けて養成が開始されました。現在129名のHPSが誕生していますが、四国では当院に在籍する2名のみです。

 いったい何をする人ですか?と思われる方が多いと思います。HPSの仕事のベースは遊びです。専門的には日常の遊び、療法的遊び・・と分類されますが、基本的に私は子ども達と楽しく遊んでいます。(子どもとの信頼関係はやはり遊びからです。)
 そして、信頼関係を構築したうえでプレパレーション、ディストラクション、そして家族のサポート、子どもにやさしい環境作り(癒しの環境作り)が主な仕事です。

 特にプレパレーション、ディストラクションって何?と思われる方が多いと思いますのでご紹介させていただきます。

 プレパレーションというのは子ども達が検査や処置の前に「心の準備」ができるよう、なんでこの検査をするのか、なんでこんな治療が必要なのか、どうやってするのか・・それぞれの子どもにあわせてわかりやすく話すことで納得して検査、処置を受けることができるようにすることです。子どもにあわせてごっこ遊びをしたり、絵本をみながら話したり、また実際に使用する医療器具を見たり、さわったり・・自分が体験することが理解できるようにしています。子どもに指導するのではなく、子どもの聞きたいこと、知りたいことを年齢や理解度にもよりますが、なるべく具体的に、はぐらかすことなく話すことを基本としています。心の準備ができることで心理的混乱が緩和され納得して検査や処置が受けられ、終了時“がんばった”と実感できることが大切だと考えています。

 ディストラクションとは? ディストラクションとは処置中に気を紛らわせる遊びのことです。事前に子ども自身が選択した遊びを行うことで、少しでも処置時の苦痛が紛れることを目的にしています。ちょっと不思議な、ちょっとおもしろい動き、楽しい音や色のグッズをいろいろ準備しています。また、子どもの希望に沿って特に小さい子ども達は“おかあさんと一緒”に処置にのぞめるようにと考えています。

 処置室で泣いたり暴れている子どもは、強い不安や抵抗感を持ち精神的に大きな負担になっていると思います。私も泣き叫ぶ子どもをみるのは辛いです。
 子どもたちが納得し、無理やり押さえつけられることなく検査や処置がうけられるよう。病院が子ども達にとって少しでも嫌な場所でなくなるように・・との思いで私はこの資格を取得しました。

 子どもの理解と大人の理解、子どもの知りたいことと医療者サイドが伝えたいことは違います。いきなり、何もわからないまま検査や処置がおこなわれるのではなく、子どもにあわせたプレパレーションを実施することにより、子どもなりに納得し検査や処置が受けられるよう子どもの視点で関わりたいと思います。
 初心者マークの私ですが、子どもサイドにたち子ども達のがんばりを応援していけるHPSでありたいと思っています。

<2016.10>