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Occupational Therapist (以下OT)
リハビリテーション科 / 小椋昌美

➝ 「作業療法」って何?

 「作業療法」って「作業を使った療法のこと?」、あまりピン!としない言葉ですよね。「作業」とは、一般的に「仕事」や「事務作業」といった言葉にあたりますが、「作業療法」の示す「作業」は「人が生活するなかで行う全ての活動」のことです。例えば、「ごはんを食べる」「歯を磨く」「洗濯する」「勉強する」などです。身の回りの動作から、家庭や社会における役割の活動、趣味などです。ある日、病気やケガをすると、これらの「作業」が出来なくなってしまいます。「作業療法」は、生活の中で繰り返される「作業」を、もう一度、獲得するための「こころとからだのリハビリテーション」です。

 私は、主に脳外科患者さんを中心に担当し、ICUや脳卒中センターで仕事をしております。今回は、脳外科分野での仕事について簡単に紹介させて頂きます。

➝ どんなことをするの?

 当院は、救命救急センターをもつ「急性期病院」ですので、発症してすぐ早い段階から関わらせて頂きます。医師から処方が出されると、ICUや救命救急センター(ER)でも、OTを開始します。「ICUから、もうリハビリするの?」そう思われる方もいるかも知れませんが、さまざまな研究をもとに、今では「リハビリの開始は早ければ早いほど良い」という事が分かっています。まだ、状態の安定しない患者さんにも、医師・看護師などスタッフと協力し、早期からの介入を目指しています。

 OTでの訓練では、「体を起こす」・「座る」といった基本的な動作の練習から始まります。早い段階から体を起こし、ベッドを離れることで、不必要な体力・筋力低下等を招かないようにします。次に、人間が生きていくために欠かせない、大切な「作業(生活行為)」である「食べる」・「排泄する」動作の練習に入ります。例えば、脳梗塞により運動麻痺が起きると、上手く箸やスプーンを持つことが出来にくくなります。OTでは、早い段階から自分で食事が食べられるよう、「自助具」と呼ばれる「道具」を用いて食べる訓練を行ったり、環境を整えたりします。

➝ 終わりに

 みなさん、「作業療法(OT)」について、少し身近に感じて頂けたでしょうか?私たちは、患者さま一人ひとりが「こうしたい!」と思われる暮らしに近づけられるよう、「作業」を通じてお手伝いをさせて頂きます。ご質問等がありましたら、お気軽に声をかけて下さい。

<2016.09>