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Psychiatric Social Worker (以下PSW)
そらいろの丘病棟 / 齋藤絵梨

 はじめまして。前回のMSWの紹介に引き続き、今回はPSWについてご紹介します。
 みなさん「福祉職」と聞いて何を思い浮かべますか?
 社会福祉士、介護福祉士などがよく知られている福祉職だと思いますが、実は、精神保健福祉士も、社会福祉士や介護福祉士と並ぶ福祉の三大国家資格と呼ばれています。1997年に誕生した新しい資格ではありますが、ストレス社会において、精神的な不調を訴える子どもや大人が増加する中、精神保健福祉士が活躍する領域も広がってきました。

 よく、「社会福祉士と何が違うの?」と聞かれますので、少しだけ職種の違いを紹介します。精神保健福祉士(Psychiatric Social Worker)はPSWと略され、精神保健福祉に特化したソーシャルワーカーです。精神障がいを抱える方の社会的抑圧・権利擁護の視点から、生活問題や社会的問題の解決のための援助、社会参加に向けての支援活動を行う『スペシフィック(特化した)・ソーシャルワーカー』になります。一方、社会福祉士は、『ジェネリック(包括的)・ソーシャルワーカー』といわれ、福祉全般を担います。大きな違いは支援の領域ですが、福祉職としての視点、倫理、基礎的な学習は同じです。



 私は、平成24年香川小児病院時代に『児童思春期精神科病棟』の開設とともに、病棟専任のPSWとして配置されました。「何をしている人ですか?」の質問には、「生活のコーディネートをお手伝いしています」とお答えします。患者さんが、安心して生活できるように、生活に必要な福祉制度の情報提供、社会資源の活用、関わる人々とのネットワークの構築など…PSWの業務は多岐にわたります。

 まず業務の中で私が一番大切にしていることは“患者さん主体に”ということです。患者さんの話を聞き、困っていることや不安なこと、モヤモヤしていることを一緒に整理するところから支援をスタートしています。そして、退院後どんな生活がしたいのか一緒に考え、家族や医療従事者、関係者を含めた話し合いの場をセッティングしたり、関係者連携の窓口となって、地域との橋渡しを行う重要な役割も担います。

 また、退院に向けた支援の一つとして、平成27年4月より、必要に応じて入院中の患者さんの退院前訪問を行い、主治医や看護師、PSWが患者さんの退院先に訪問して住環境の確認、指導、助言を行っています。その際に、一緒に家族をサポートしてくれる関係機関にも連絡を取り、訪問同行を依頼することもあります。

 当院は、全国でも数少ない児童精神科病棟を備えており、四国県内からたくさんの患者さんが来院し、その数は年々増加しています。携わる患者さんや家族それぞれの“あたり前の生活”を整備していくことの難しさや、どの選択肢が患者さんにとってより良いのか・・・日々悩み葛藤します。そんな時には、同じソーシャルワーカーの仲間に話を聞いてもらったり、医師や看護師、心理士など多職種に相談したり、とにかく自分の思いを吐き出しながら、独りよがりにならないよう、“患者さんを主体に”支援できるよう自分自身のメンタルケアにも気をつけながら仕事に励んでいます。

 精神保健、生活のことでお困りのことがありましたら、お気軽にお声かけください。

<2016.08>