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Medical Social Worker (以下MSW)
地域医療連携室 / 福田育美

 みなさん、医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)をご存知ですか?
 以前は、「あなた何をする人なん?」、「名前が長いなぁ、よう覚えん」など言われていたことを覚えています。最近は、数年前に比べると認知度も高くなり、「病院の相談員さんでしょ?」と言われることも増えました。嬉しく思うとともに自分たちが担う責任の重さも痛感しています。そこで、今回はMSWの仕事や役割について少しお話しさせていただきます。

 MSWは、1895年にイギリスで生まれ、1905年にはアメリカのマサチューセッツ総合病院に、日本では1929年聖路加国際病院に配置され、その後多くの医療機関で採用されるようになりました。当院でも、社会福祉士を取得した5名のMSWと1名の精神保健福祉士(PSW)が勤務しています。



 病気やけがをすると、治療のことのみならず、医療費のこと、仕事のこと、家族のことなど、様々な心配事が生じます。例えば、医療費が支払えるか心配、病気のために仕事ができない、身体が不自由になってこれまで通り生活ができない、寝たきりや認知症の家族を家でみる人がいないなど、患者さんやご家族だけではどのように対応したら良いかわからないことが多いものです。また、医療保険・介護保険制度、社会福祉・年金制度などは、病気やけがをして初めて自らサービスを利用する立場として制度と出会い、その申請方法や利用の仕方に戸惑いを感じる方がほとんどです。

 MSWは、そのような患者さんやそのご家族の不安をできるだけ軽減し、安心して治療に専念できるよう、ご本人・ご家族と、またそれをチームとして支える医師や看護師等の他の専門職と話し合いを持ちながら、解決へと援助する社会福祉の専門職です。

 また、介護保険制度施行後は、医療機関の機能分化が進み、ケアマネジャーや地域の関係機関との医療と介護の連携が必要不可欠となり、入院早期から退院計画に沿った退院援助を行うことが重要となっています。保険料の未納や医療費の支払いが難しい、未受診妊婦や子ども虐待、DV被害者支援、高齢者虐待問題など世相を反映した様々な問題を抱える患者さんの受診も多く、病院は単に病気を治療するだけでなく、少しでも早く家庭人、社会人として家庭復帰・社会復帰ができるよう、患者さんの権利を擁護し、生活全体を視野に入れた支援を行っています。そのためにも、MSWは社会福祉の立場から患者さんの抱える経済的、心理的、社会的問題の解決、調整を援助し社会復帰の促進を図るとともに、地域ケアシステムづくりにも積極的に参加しています。



 みなさまの今後の生活のお手伝いを少しでもできるようスタッフ一同、自己研鑽を忘れることなく日々努力していきたいと思います。少し硬いお話になってしまいましたが、簡単に言うと、通院、入院生活にて何かお困りのことや福祉制度のこと、「誰に相談していいかわからない」、「話を聞いてもらいたい」などございましたら、いつでもお声かけください。