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Japan Nurse Practitioner / ジャパンナースプラクティショナー(以下JNP)
救急科 / 宮下郁子

 みなさん、診療看護師ってご存知ですか?たぶん、聞いたことがある程度の方が多いのではないでしょうか?2014年6月18日に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関係する法律」が可決、成立しました。その結果、看護師の仕事の範囲が拡大し、今まで看護師が実施できなかった医師が行う医療行為の一部を、手順書により実施できるようになりました。そのような看護師を、国立病院機構ではJNPと称しています。アメリカをはじめ多くの国ではナースプラクティショナーが活躍しており、日本でもやっとその教育が始まり、法制化されました。

 私は、東京医療保健大学大学院高度実践看護コース(1期生)を修了し、現在、JNPとして救急科で仕事をしています。当院は月平均300台の救急車を受け入れており、重症の患者さんが多く搬送されます。私は救急搬送された患者さんの診察、検査のオーダー、検査結果の確認、動脈からの採血など、今まで医師が行っていた医療行為の一部を行っています。そして今後診てもらうべき医師に引き渡す役割(トリアージ)を担っています。 私の仕事の一部を少しですがご紹介します。


 
 まず救急搬送されてきた患者さんの情報収集を行います。その際、この患者さんは緊急事態か、対応が遅れると手遅れになる状態か、を第一印象で感じることが大切です。次に問診と診察を行います。そこから患者さんの問題点を洗い出し、今、患者さんに起こっていることは何なのかを考えます。特に救急では、「見逃すと危険な病気」がないかを調べるのが大きな任務です。患者さんに話を聞くと70%~80%の診断がつくと言われていますが、救急搬送された患者さんは状態が悪いことが多く、十分な情報がない中で対処しなければならないことが多いのが現状です。

 次に、たくさんの検査の中から何の検査が必要なのかを考えながら、検査を行います。血液検査やレントゲンやエコーもとります。そしてそれらの検査結果から、何科の医師に診てもらうのが一番よいのかを判断して、専門の医師に相談します。



 国立病院機構では、より医師の考えに近いJNPを育てるために大学院での教育と、医師の指導のもと1年間の研修制度を設けています。またJNPが活躍するためには医師、看護師、メディカルスタッフの理解も不可欠ですが、当院は協力体制が整っていると思います。

 看護師が仕事の範囲を広げることは、高い能力と技術が必要ですし責任も伴いますが、患者さんの最も近くにいる看護師だからこそ、心身一体的に「医療」と「看護」を提供できる強みがあると思っています。私自身まだまだ勉強中ですが、大変やりがいを感じています。